秘密の兄妹 2
第2章 紫織の彼氏候補
「俺、今まで付き合った子全員に振られてるし、自分でもあまり人に勧めれるような良い人間じゃないと思うけど?」
「いや!それは違いますよ!!」
俺の言葉に、沢村は首をぶんぶんと横に振る。
「橘先輩と付き合っていた歴代の3人の彼女さん、橘先輩のどこがいけなかったか周りの女友達にこう言っていたそうです。」
「………」
「【凄く優しかった】
【大事にしてくれた】
【付き合えて幸せだった】
でも、3人とも最後は口を揃えてこう言うんです。
【だけど、自分が他の男の人と仲良く話していても、風磨は一度も焼きもちを妬いてくれなかった…
それが、ただただ悲しかった】」
「…………」
そう、だったのか……
だから遥は浮気して俺を試した……?
けど、俺は遥も相手の男も責めずに許した。
結局はそこまでの執着する愛情を遥に対しても他の2人に対しても持っていなかった…
本気で好きなわけではなかった…
「…………」
「でも、紫織なら大丈夫です!
あの子の愛は与える愛だから、相手からの見返りなんて求めないですよ。」
「…いや、だからそれは……」
俺は言葉を詰まらせる。
「ここまで推しても駄目か…
まあ無理強いは良くないですよね。
それに、あんまり橘先輩ばかりを推すと、やっぱり奏多にも悪いし……」
「…奏多?」
「何?…誰、そいつ…!?」
「紫織にずっと片想い中の同学年の男子です。
私の彼氏の純哉と親友なんですけど、私と紫織とも仲が良いので、奏多の応援もしたいんですよね。
面倒くさい奴だけど、良い奴なので…。」
沢村はそこまで言うと、食べかけのオムライスに手をつけた。
「「…………」」