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秘密の兄妹 2

第3章 純哉と奏多


「ねぇ、由香ちゃん。彼氏の純哉くんってどんな奴?
イケメン?性格はどんな感じ?」


大地は興味深げに沢村に質問攻めをする。


「純哉は…、とにかく優しいです。
顔もイケメンの部類に入るのかなぁ。
結構女の子にモテるみたいだし。」


「純哉くんはモテるけど、告白してくる女の子たち、
見事に一刀両断でバッサリと振るよね?
純哉くんは昔から由香一筋だから。」


紫織が補足して沢村の彼氏の説明をする。


「昔から?」


大地が尋ねる。


「私と純哉は小学校から一緒なんです。
純哉から初めて告白されたのは小5のときだったかな?
その時は断わったけど、その後もめげずに何度も何度も告白してきて……」


「それで、由香が去年の夏にやっと折れて、付き合うことになったんだよね?」


紫織は他人の事ながら、嬉しそうに話す。


「私が折れたっていうより、純哉にへし折られる形で付き合うことになったみたいな?
もう根負けして…。
今は幸せだから良いんですけどね。」


「今じゃ学年一、微笑ましいカップルだよね。
私、2人を見てると癒やされるもん。」


「そう?」


「うん!」


紫織と沢村が笑い合うのを見ながら、俺は時計を確認する。


そして中身が空の食器の乗ったトレイを持って立ち上がる。


「俺、これから紫織の状態報告するのに保健室に行ってくる。
紫織は昼休み終わるまで、みんなとここにいろ。
風磨、大地、あとを頼むな?」


「あぁ…」


「任せろ!」


「お兄ちゃん、私も行くよ?」


紫織が急いで立ち上がる。


「いい。お前、保健室の先生にちゃんと話せないだろ?
俺が上手く話しておくから、ゆっくり昼メシ食ってろ。」


「……うん。」


紫織は納得したのか、素直に頷いて椅子に座る。


「保健室で紫織のこと報告した後、俺、そのまま教室に戻るから、お前らここで俺のこと待ってなくていいから。」


「分かった。」


「了解!!」


風磨と大地の返事を聞くと、俺はそのままトレイを持って席を離れた。




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