秘密の兄妹 2
第3章 純哉と奏多
「…あいわらず奏多は紫織に関しては極度の心配性よね。」
由香は溜め息をつきながら笑う。
「奏多くんは言葉足らずで誤解を生みやすいけど、実はすっごく優しくていい人だよね。」
「なら、付き合っちゃえば?」
「これでも私、一応彼氏がいるので無理です。」
「それでも私は紫織に奏多をお勧めします。」
「奏多くんは私の唯一の男友達なので、今の関係を壊したくはありません。」
「え、じゃあ純哉は友人枠に入ってないの?
紫織と仲良くしてるのに、それは酷くない?」
「純哉くんは、私の中では【由香の彼氏】という認識なので、由香を通しての友人です。
直接的な男友達は奏多くんだけです。」
「なるほど。」
2人で問答しあって、私と由香は顔を合わせて笑う。
「……随分熱い視線で見つめられてたみたいだけど、
さっきの【奏多くん】、風磨の知り合い?」
「…さぁ、見覚えはないけど。」
私と由香が笑い合ってる間、橘さんと神保さんの間でそんな会話がされていたことに、私は全く気づかなかった。