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第13章 かわいいひと〜クリスマス〜



「先生!」

呼び止めた声に振り向く。

「どしたー?」

立ち止まっただけでなくこっちに戻ろうとしてくれてる先生の元へ。

俺、なにしてんだろ。

なに言うつもり?

あ。

「先生、俺、別れたんだよ。」

「はあ?マジ?なんでまた…」

「なんでかは今度ゆっくり教えてあげる。

でね、先生?
俺、誕生日なんだ。」

「は?いつ?」

驚いた顔で俺を見る。

「今日…」

更に驚いた顔。

「マジで?
おめでとう!
もっと早く言えよー。」

「ありがとう。そんだけ。
ごめんね、引き止めて。」

戻る俺の首にふわりとなにかが覆う。


先生のマフラー。


「え?」

「プレゼント。
ごめんな、使い古しで。」

うそ。
うれしい。

ブンブン首を振って言う。

「ありがとう。
うれしい。これがいい。」

「そ?なら、よかった。」

「先生が寒いよね…
やっぱ、」

マフラーにかけた手と声を遮って先生は歩き出した。

「大丈夫!じゃあな。
似合ってる!」

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