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第14章 かわいいひと〜葛藤〜
「せんせー!」
吹き出すとこだった。
なんつータイミングで現れんだよ。
「あ!大ちゃんもいる。」
ニコニコ俺と大野さんの顔を交互に見て俺の近くでしゃがんだ。
忠犬?
ズボンをめくって足を出すと血が滲んでる。
「さっき体育で転んだ。」
「保健室行って手当して来いよ。」
「大丈夫、こんくらい。」
俺たちのやり取りを見て微笑む大野さん。
「俺は仕事に戻るかなー。」
「え?まだいいじゃん。」
俺もそう思って大野さんに言おうとしたら内緒話みたいに耳に口を寄せて、
「お邪魔かなー。」
なんて言ってる。
「!」
「ね、大野さん、帰りメシ付き合って。」
「いーよー。」
じゃあね、と大野さんは出て行った。
「ほんと、先生と大ちゃん仲良いね。」
寂しそうでもヤキモチでもなさそうに本当にいいね、って感じに言われた。
お前と行けたらいいのにな。
なんて密かに思った。