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第16章 かわいいひと〜おとなとこども〜



みいの家からの帰り道。

相葉がなにか言いたそうにチラチラと俺を見る。

なにも言わないでいるのは、ずるいよな。

「相葉?」

「うん。」

「あの…あれ…
ありがとな。」

「えっ?」

「いや…その…」

しどろもどろな俺に相葉は意味がわからないといった風に今度はしっかり目線を合わせてきた。

「ありがとう…か。
それで終わりなの?」

「……」

「先生?」

「…いや…」

立ち止まって俺の手を取ってそっと握る。

真剣な表情を向けるからその目に嘘がつけなくて、ますますオドオドして挙動不振。

そして昨日のメールみたいに謝られるから困ってしまう。

「ごめん、先生。
でも俺…」

「謝らなくていいんだって。」

「ううん、ごめんね。
俺、困らせてる?」

「違う…そうじゃない…」

泣かせたり悲しませたりしたくないのに。

相葉の目に今にもこぼれ落ちそうな涙が溜まっていく。

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