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第19章 かわいいひと〜近くて遠い〜
「またお前と歳が離れたー。」
「え?先生、気にしてた?」
「そりゃ気にするさー。
8?だぞ。今9だよ。
お前は若くてピチピチ。
俺はおっさんまっしぐら。」
自虐ネタかと思いきや本当に嘆いてるから驚いてしまう。
「俺は若いの嫌だ。
早く…先生に追いつきたい。」
俺の言葉に今度は先生が驚く。
「ははっ。
大人に憧れて、若さに嫉妬して。
俺たち大変だな。」
「なにそれ。
他人事みたいに。」
サッと真面目な顔をして、
「ふとした時に思う。
お前若いし、もったいないって、」
「ストップ。」
変なこと言い出すから俺は話を遮って言う。
いち早く察知した時々出る先生のネガティヴ。
「俺も先生は俺にはもったいないって思う。
でも、そんな人を自分に向かせることができたの。
だから離さない。」
先生を笑顔にしたくてケーキをフォークで掬って先生の口へ差し出す。
「はい。あーん。」
素直に口を開けてくれる。
「おいしい。」
先生が笑ってくれた。