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第19章 かわいいひと〜近くて遠い〜



『もおいちど…

呼んで。』

俺はもはや、ぶー垂れた顔はしていない。

どうしようもなく締まりのない顔になっていると思われる。

『…かずなり。』

『…はい。』


…って、なんなんだよ、コレ。


『今どこ?家?』

『ううん。バイト帰り。』

『マジ!
どこらへん?』

『もうすぐ着くとこ。』

『ね、ちょっと会いたい。
ちょっとだけ。』

きゅんってなった、今。

俺がはやる気持ちを抑えながら、

『公園で待ってる!』

って告げると、

『ごめん!
すぐ行く。』

同じように興奮気味な声で答える先生。

通話が切れた携帯をポケットに入れて今来た道を少し引き返す。

思いがけず会える大好きなひとを待つ場所へ。

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