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「そういえば…」

こんなことがあったんだ、と翔さんが言う。

「ちょっと本気で好きになった子がいたんだよね。普通に付き合ってて、そんな結婚の話なんてしてないのに親が先走って…。和の経歴っていうか過去を色々調べたみたい。それで別れる事になったんだよ。」

そんな…。
それじゃ恋に臆病にもなるよ。

「そんな事をされたって怒ってたはずなんだ、最初は。でも親に引き離されたって言っても最終的には彼女が決めたって事がショックだったんだ。和の事を…過去を受け入れられないって事が。失望したんだと思う。」

「だからかな…まともに付き合わないよね。ただ来るもの拒まず…的な。」

松本さんは悲しそうに目を伏せる。

「“我慢する”って好きになることを？

幸せになることを？」

大ちゃんは泣きそうな顔で、そんなの変だ！と怒った。