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第5章 その先へ

しばらく出口のほうに視線を向けたまま動けずにいた。

動きを取り戻したのは手に握らされたコーヒーの冷たさ。

「おごり。」

爽やかな笑顔の潤くんに俺も笑って返す。

「サンキュ。」

それを持って上に上がる為にエレベーターへと向かうと、コーヒー缶をゴミ箱に捨てて潤くんもついてきた。

内心バクバクの俺は平気なフリをしてすれ違った同僚に挨拶を交わしながら開いた目の前のエレベーターに乗る。

「後から相葉くんにメールしよ。冷やかしの。」

にやにやしながら潤くんは楽しそうだ。

俺の気も知らずに。

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