パパ、もう一度抱きしめて
第2章 恋心
真夜中。
「…ん…っ?」
エアコンのタイマーがいつの間にか切れていて、あまりの寝苦しさに目覚めた。私は一階のキッチンへ降りて行き、水を飲んだ。
ふーっ。
さっ、もう一眠りしなきゃ。
そう思って部屋に戻ろうとした時だった。
えっ…?
私は立ち止まった。
今、確かに声がしたのだ。
あ、また……ママの……声だわ。
まだ起きてるのかな。
でもその声の意味が、私の中である確信に変わった…。
「っ…」
私は両親の寝室の扉を凝視した。
聞いてはならないと思ったが。
「あん…あ…っ」
「理沙子…理沙子」
パパの声もはっきり聞こえた。
その瞬間私は、だだっと階段をかけ上がって行った。