パパ、もう一度抱きしめて
第7章 そして、運命の再会
私と彼は、北川さんとミワちゃんが仲良く歩いて行くのを見送った。
「…」
彼は、ちょっぴり不安げに立ち尽くす私に気づき、明るく聞いてきた。
「俺の事、まだわからないみたいだね。んじゃあ」
そう言うと、彼は突然白衣のボタンを外し始めた。
「え…?」
白衣の下は意外にも、ラフなTシャツにジーンズ姿だった。
「あっ…!」
声を上げた私は、彼があの朝コンビニで会った人だとようやくわかった。
彼は「オッケー?」と笑って、また白衣を羽織った。
「まさかお医者さんだったなんて…」
「俺、出勤前や当直あけによくコンビニに寄るんだ。コーヒーが安い割に結構いけるからね」
「くすっ」
「何かおかしい事言った?」
と、首を傾げられた。
「いいえ。お医者さんなのに、庶民的なこと言われるから、つい」
「えっ…俺庶民だもん。普通のサラリーマンと変わらないよ、はははっ」
「…」
彼の気取らない態度と笑顔に、不思議と私は心がやわらぐのを覚えた。