パパ、もう一度抱きしめて
第10章 偶然のドライブ
「梓ちゃん、門限は何時?」
車が走り出すと、遼太郎さんに聞かれた。
「えと、十時です…」
「うん、わかった」
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最初に連れられて来たのは、和食のレストラン。
係の人に案内されて席に着くと、なぜか感じる周りの視線に、私は緊張してしまう。
遼太郎さんは平然と構えていて男らしいな、と思った。
私はどちらかと言えば、外食は苦手な方だ。
遼太郎さんはそんな私に気を使って、いろいろと話してくれた。
ママの体の具合とか、私の将来の希望についても聞いてくれた。
「私、航空業界で働きたいんです」
「もしかして、キャビンアテンダント!?」
「違いますよー。グランドスタッフの方です。ほらチェックインカウンターで搭乗手続きを行ったりする、」
「え〜、梓ちゃんは絶対キャビンアテンダントだって」
なぜかムキになる遼太郎さんだった。
「ふふっ。はい、参考にしますね」
いつの間にかリラックスしている自分がいた。
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そして、車はすっかり夜になった市内をまた走り出す。
街の灯りがキラキラして、とても綺麗だった。