パパ、もう一度抱きしめて
第10章 偶然のドライブ
遼太郎side
助手席の君は、美緒とは違う黒いロングのストレートヘアーだ。
「エアコン、もっと上げようか?」
「大丈夫です…」
「そう?」
俺は門限までを逆算し、
ビルの立ち並ぶ華やかな中心街から、山の手の静かな住宅地までを走らせてゆく。
それでも途中ふと、彼女の様子が気になった。
「もっと遠くまで行けたら良かったんだけど…こんな近場でごめんね?」
すると彼女は俺に向かって言った。
「十分ですよ。
私、こんな素敵な景色見るの初めてだから、楽しい…」
そう笑った君に安堵すると同時に、
なぜか俺は
とても癒やされるのだった。