パパ、もう一度抱きしめて
第10章 偶然のドライブ
門限にはまだ少し早かったけど、遼太郎さんは私の家の玄関まで来てくれた。
インターホンを鳴らすと、ドアを開けたママが私と遼太郎さんを見て驚いていた。
「ママ、こちらは荻野遼太郎さんよ」
遼太郎さんは頭を下げて、ママに言った。
「どうもはじめまして。今日は梓さんをこんな時間まで連れ出してしまって、すみませんでした」
「いいえー。梓がいつもお世話になっております…」
ママは、やはり戸惑いを隠せないようだった。私が男の人を連れて来るなんて、初めての事だから。
「あの、よろしかったらお茶でもいかがですか?」
ママが遼太郎さんに言った。
「ありがとうございます。でも、明日も早いのでこれで失礼します」
「ママ、遼太郎さんは○大病院のお医者さんなの」
「まあ、そうなんですか?」
「はい、一応…」
ママは感心するように、遼太郎さんをにこやかに見ていた。