大切な人へ ~second story~
第5章 わからない
彼女に渡したのは使い古した辞書と付箋だらけのノート
『私が中学の時に使ってたの。開いてみて?』
辞書にはアンダーラインや書き込みだらけ
ノートは自分専用の文法一覧や解説がぎっしり
あの頃必死で机にむかって過ごした記録だ
これでも英語は私の中では得意だったって言ったら
千香ちゃんはびっくりしてた
『私は不器用でバカなの。
何度も書いて、何度も間違えて、何度も覚えなおして
それでも解らなくてね...
でもやっていくうちに理解できて解ける問題も出てくる
復習してれば新しく覚えても忘れない。
そうやって少しずつ出来るようになるんだよ』
努力する覚悟があれば絶対できるって思ってほしかった
千香ちゃんは私の出す あえて多めの課題を
毎回きちんとこなしてくれた
彼女はバレー部らしくてスポーツ少女で
根性はかなりあった。絶対努力してるってわかる
それが嬉しくて私も勉強しなおして問題を探した
_________
「藍野さんありがとう!これ見てあげて」
出迎えてくれたお姉さんは凄く嬉しそうに
彼女の答案を見せてくれた。
かなり良く出来てて私は千香ちゃんとハグハグした
『千香ちゃん頑張ったもんね!良かったね‼』
嬉しくって思わず泣いてしまって2人に笑われた