大切な人へ ~second story~
第7章 見ちゃった
「俺もさ...井川本人から聞いたんじゃない
だから全部本当だとは思わないでね?」
私は黙って頷いた...
「美優ちゃんはさっきグラウンドから
帰ろうとしてたよね?
...何か見た?」
とても人には言う気にはなれなかった...
しかも渉くんは同じ部員だもんね
だから私は見たとしか言わなかった
「そっか...
今は俺だけじゃなくて結構みんな知ってると思う
もちろん美優ちゃんがいることもみんな知ってる
でも別れたのかとか聞くの清水先輩くらいだし...
井川もそれは誰にも言わないんだ」
『渉くんは...いつ頃知ったの?
私は今日まで何も知らなかった』
「俺が知ったのは美優ちゃんが最後に来た日。
他の部員から聞いてびっくりした...
でも他の奴はもっと前から知ってた奴もいた」
もっと...前から...
何も言えなくてずっと俯いてた
渉くんもしばらく黙って向かいに座っててくれた
「その感じだと別れてたわけじゃないんだ?」
『うん...そんな事言われたこともなかった』
渉くんはそっかってコーヒーを飲んでた