大切な人へ ~second story~
第11章 酔わせて ー晄人sideー
彼女は井川とのことを一切話さない
それは多分俺に気を使ってのことだけど
それだけじゃないのも分かってきてた
明らかに表情も暗くなるし
言いづらそうに言葉を選んでる
君が人の悪口を嫌うのは知ってるから
そうしてるだけでなんとなくわかるんだよ?
うまくいってないって...
卒業の時の手紙を読んで
井川を選んだってわかって...
悲しいって思いと同時に
ちょっとほっとしたんだ
やっと決められたのかなって...
俺とあいつの間で揺れて
ずっと苦しかっただろうから
やっと1人の男と幸せになれるねって思ったのに__
少し時間がたってまた君に会って...
前よりもまた綺麗になってる君に
心を奪われたように見とれてしまった___
全然吹っ切れてなかった...
君の事が頭から離れなくって
たまたま探してた家庭教師をお願いしたら
すごく喜んでくれて...
また繋がりを持ってしまうことに
罪悪感よりも、嬉しさが勝ってしまった
それに家庭教師は君にやってほしかったのも
本心だったんだ
前に時々放課後なんかで勉強を教えてるの見たよ
内容は聞こえなかったけど
その時すごくいい顔してた
楽しそうで生き生きしてたんだ
そんな風に教えるって俺にはできないから
純粋に尊敬したんだよ