
LIFE
第9章 I miss you *隠す*
あれから結構な日にちが過ぎたけど優香はなにも言ってこない。
相葉さんはいつもとあまり変わんない。
…と思う。
そのことは少なからず俺の頭の中にあって。
なのに相変わらず俺の前では普段と変わらない笑顔でそこにいる。
彼女とのゴタゴタなんて微塵もない。
それに俺はなんにも知らないって思ってる節もある。
だから俺もなにも訊かない。
言わない。
優香と廊下で会ったから話しかけてみた。
そして思い切って切り出す。
「お前、あれからどうした?」
「どうって…先輩はどうしてる?」
「え、会ってないの?」
「部活では隣のコート使ってたりすると会うけど。私が避けてるから。」
「どういう状況?」
「先輩から時々、会って話そう、ってメールが来るけど。無視しちゃってるの。」
「そうなんだ。」
「もういい加減、解放してあげなきゃいけないとは思ってる。だってこのままでいい訳ないもんね。」
「まあね。」
「こんなんで引き延ばしても…付き合ってるなんていえないし。ただ形だけ、名前だけだよね。」
そう言うと、はあー、って大きくついたため息。
男と女は難しいね。
きっと男と男なんて…
難しいなんてレベルじゃないのかも。
