LIFE
第9章 I miss you *隠す*
「相葉くん。お客さん。」
クラスの女子に呼ばれて振り向くと指を指す教室の後ろの扉の方へ目を向ける。
そこには二宮くんの姿。
うわ。
どうしたー。
珍しいね、教室くんの。
内心ドキドキしながら向かうと、ごめんね、って口パクしながら廊下で待ってる。
「ごめんね、相葉さん。」
「ううん、どうした?」
「あのさ、この後、怖い先生とかの授業ある?」
「?」
「俺、ネクタイ忘れちゃって。
今日の時間割りだと大丈夫って思ってたら次の授業、先生の都合で代わりに怖い先生が来るの。
ネクタイ、貸してもらえたら助かる…。」
ぷっ。
「マヌケー。
いいよ。はい。」
俺がスルッとネクタイを解いて二宮くんの腕を取って手のひらに置いた。
「ホントに大丈夫?」
「うん、へーきー。」
平気じゃなくても平気にします。
そんなことを考えながら二宮くんの顔を見つめた。
「あ…ありがと。」
「してあげよっか?」
ネクタイを取って二宮くんの首に掛けて襟を立ててから収める。
そこまでしたら手を抑えられた。
「…いい…。
自分でやる。
なんか、人の視線が気になる。」
そう言ってネクタイを触りながら自分の教室に帰ろうとして。
「じゃーねー!」
「うん。ありがとう!」
チラリと目線だけ合わすとその場を離れた。