LIFE
第9章 I miss you *隠す*
次の日の朝。
朝練終わりに渡り廊下で二宮くんが俺を待ってた。
「おはよ。
これ、ありがと。」
渡されたネクタイ。
「お役に立ててよかった。」
「ホント大丈夫だった?」
「うん。大丈夫だったよ!」
「これはお礼。」
一緒に渡されたパックのジュース。
「ありがと。」
「こちらこそ。じゃーね。」
二宮くんが走って行って俺はネクタイを見た。
なんか違う感触がしてまじまじと見る。
後ろのタグが少しほつれてたのを思い出して確認しようとして気づいた。
タグにイニシャルでNと書いてある。
これ…二宮くんのだ。
改めて見ると真新しいとわかる。
色も手触りも。
二宮くんに返した方がいいかな…。
気づかないふりして、このまま俺が持っててもいい…よね?
今の時点で俺の頭の中は後者で決まりなんだけど。
とりあえず、そっとポケットにしまって足を進めた。