LIFE
第18章 つかまえたい!
最近は二宮さんにどんどん仕事を振られて、指示を仰いだり教えて貰ったり。
日中もそれなりにバタバタしてる社内は夕方、仕事を持ち帰った人や早く帰りたい女子社員の慌ただしさも加わりその時間独特な空間になる。
新入社員は今はまだ大体定時で上がるのが多いけど時々残業をしていた。
仕事を中断するのがはばかられたり、明らかに二宮さんが大量の仕事を抱え込んでたり。
今日もあと少しの人を残して、退勤したフロアは昼間の活気は無くなって静か。
それが仕事がはかどる雰囲気でもあるから時間外に残ること嫌いではない。
「もう帰んな?」
いつもそう声をかけてくれるんだけど、
「いえ、やります!
他に何かありますか?」
困ったような、でも嬉しそうな顔で、
「じゃあ、頼む。」
自分の机の上に手を伸ばして入力の書類を遠慮気味に俺の机に置いた。
しばらく集中して作業して凝り固まった体を伸ばそうと背中を反って腕を上げると気持ちいい。
首もグルグル。
「お疲れ。
それやったらもう帰れ?」
後ろから現れた二宮さんは缶コーヒーを飲んでそう言って、同じのをコトリと俺の机に置いて少し笑った。