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LIFE

第21章 つかまえたい!〜scene4〜



ぎこちなかったのはあの日の翌日だけで。

その後は至って普通に仕事場での俺たち。

仕事のやり取り、ちょっとした冗談。

残業も相変わらず手伝ってくれて合間にコーヒーを淹れてはそっと俺のデスクに置いてくれる。

金曜日の夜。

携帯を気にしていると相葉くんからの着信にドキリ。

見るのが怖くてしばらく放置して、それでも気になるのは気になる訳で意を決してタッチすると、

『友達と約束があるので行ってきます。



浮気すんなよ!』


……


なんだよ。

なんなんだよ。

会えないのは悲しいけど、


“浮気すんなよ”


の言葉が俺を捉える。

終わってないの?

まだ俺との関係は繋がってる?

聞けばいいのに聞けない言葉が常に俺の中にある。

その言葉は相葉くんに投げかけられることはないと思う。

だってそうでしょ。

あんなに特別になりたがってた相葉くんをずっと遠ざけてたのは俺。

そんな俺が今あいつになんて言うの?



そんなことを思ってたのに。

その後も何週も会うことはなくなって、はたと気づく。



なんだ。



やっぱり終わったんだ。

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