LIFE
第21章 つかまえたい!〜scene4〜
たぶんホテルに向かってるんだろう。
歩きながらふと周りを見渡す。
今何時かな。
ちょっと暑い。
意味もなく考えるのはそんなこと。
支えられてなきゃ立てないってほどでもないんだけど、この人が今も腰に手を回してるから寄りかかる感じで歩いた。
歩いていてもなんにも思わない。
感じない。
感情がない…みたいだ。
前の俺だったら相手が見つかってラッキーだの、早くヤりたいだの。
寂しさが紛れたりしてたのに。
歩いてたら歩道の段差によろけてしまった。
サッとあの似た手が差し出されてまた見とれる。
う、泣きそう。
「大丈夫?」
この人が優しく声をかけて前のめりになってた俺を覗き込んだ。
あんまり見ないで。
体勢を整えると笑顔を作った。
「ありがとう。」
その手はもう握らない。
相葉くんの手じゃないんだから。
似てるだけ。
似てるだけで全然違う。
相葉くんに会いたいな。
やっぱり泣きそうだ。
立ち止まった俺に降りてきた言葉に泣くのを堪えていた鼻の奥がツンとした。
「やっぱりやめよう。
今日は帰った方がいい。」