LIFE
第22章 つかまえたい!〜scene5〜
「なんで…」
二宮さんだぁ。
頭を持ち上げてちゃんと見ると俺の隣に座る人は間違いなく二宮さんで。
「酔っ払い…」
そう言って俺の酎ハイを手にすると、
「飲んでいい?」
まばたきもせず頭を縦に振ると微笑んでゴクゴクと飲んだ。
「はー、うまいっ。」
「二宮さん、飲みますか?」
村上が訊くと、いや、いらない、と二宮さんが断る。
「相葉くん、連れて帰るわ。」
「お願いしてすみません。」
ね、ちょっと待って。
なんで二人で会話してんの?
そんで会話が成立してるよね?
「どうして…」
割って入った俺の問いかけに村上が応える。
「お前が、二宮さん二宮さん、言うから…呼んだ。」
…
「…あ、そ、ありがとう…」
いやいや、そうじゃなくて!
そんなシンプルに呼んだ村上もすごいけど、シンプルに来た二宮さんもすごい。
……
こんな簡単なことだったのかよ。
シンプルに会いたいって。
それだけでよかったの?
素直に会いたいって言ったら会えたんだ。
俺、バカみたい。
なにか言おうと二宮さんを見るけどなにも言えなくて視線を戻す。
そんなことを繰り返してると、
「お前、大丈夫か?もう帰ろうぜ。」
伝票を掴む村上が席を立ったのに合わせるように二宮さんと俺も腰を上げた。