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LIFE

第23章 つかまえたい!〜scene6〜



「なんで、あんまり覚えてないんですか?」

相葉くんの手を握ってさすった。

「悲しすぎて、ちょっとおかしかったんだよ、あの日。」

指を1本ずつ撫でて確認。

ああ、これ。

この指、この手。

「投げやりな気分で、どうでもいいや、ってなってたのに。
声かけてくる人たちにお前の面影っていうか、
背格好が同じとかなんとか、」

そこで相葉くんは変なところで引っかかる。

「人たち?」

「え?」

「ひとりじゃない?」

あらら、そこ?

「あー、なんかモテてさー、その夜。」

あれ?

黙って俺の胸に顔を押しつける相葉くんに焦って、上を向かそうと動かしてみても頑として顔を上げない。

「…ごめん。」

「いいです。続けて?」

ほんとに続けていいのか?

「んっと…なんか泣き笑いになって、こりゃもうダメだって、帰ろとしたら最後にそのイケメンに会った。」

「ふーん。」

怖い。

ふーん、が怖いって。

「一緒に店出たけど…
相葉くんの手に見えたその人の手を見てるうちに、悲しくなって…」

思い出して悲しくなる。

「やめよ、って。」

「うん。」

「その人が、やめよう、って。」

「その人が、なんですね、」

もー。

いちいち細かいな!

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