テキストサイズ

LIFE

第23章 つかまえたい!〜scene6〜



「もー終わり!帰るぞ!」

「えー、もうちょっとー。」

相葉くんの腕をグイグイ引っ張って外へ出るためにドアを目指す。



行ってみたい



きいてあげた相葉くんのお願い。

正直あまり乗り気ではなく。

俺の行きつけの店である、ここへ連れて来たのはいいんだけどさ。

「可愛い!」

「いや~ん!
なんなの~、も~!」

「こんなコ、どこに隠してたんだよ。」

店のママや、顔なじみに声をかけられて、あっという間にわらわらと人だかり。

かわるがわる現れる人と酒。

次々に注がれる酒。

最初はお約束の人見知りを存分に発揮して、こじんまりと俺の傍らに収まってたのに。

お酒も入って、加えてざっくばらんお気楽なこの手の店の連中に、この人はおもしろいくらいに適応した。

俺はというと、楽しそうな相葉くんを見て、


こんな楽しんでるなら、ま、いっか


連れてきた甲斐があったなと寛大な気持ち。

でも。

ちゃんと見てたし動いてたよ?

テーブルに置かれたグラスを遠ざけて、代わりに手の触れるジャストな場所に、つまみのナッツの入った小皿。

渡されたグラスを話に加わる素ぶりで、さりげなく取って俺が飲んでやった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ