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LIFE

第29章 ぼくのたからもの



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放課後いつもの帰り道。

まーくんが女の子に呼び止められた。

まーくんなんて、もう恥ずかしくて呼んだりしないけど、心でなんと呼ぼうが自由でしょ。

昔とおんなじ。


まーくんはまーくんだ。


先に行ってるよ、と歩みを進めるとすぐに俺に追いついたまーくんが肩に腕を乗せてくる。

こんなの、前は嬉しいだけだったのに今は複雑。

あらかた告白でもされたんでしょ。

なんだかにやけてる顔だしね。

ふーん。

ばっかみたい。

まーくんなんて知らない。

心の中で毒を吐いてると、

雅「かずくん?なんでそんな変な顔してんの?」

和「変な顔?失敬だ。」

雅「ぷは!だって変な顔だもん。」

ほっぺをぷにぷにと触ってくる。

和「んふ。やめろー。」

雅「やだね。」

こうやって肩を組んで笑い合って。

限られたはずの時間なのに。

まーくんといると永遠に続くとさえ思えるんだ。


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