お姫様は海に恋い焦がれる
第3章 うさぎピンチ!二人きりの夜〜未来編〜
「ん、……」
「──……」
目蓋を閉じたみちるの口舌を、うさぎの唇が封じていた。
柔らかな、幻のように淡い口づけ。
みちるが腰を引いたところで、そのキスは追いかけてくる。
「…………」
「はぁ、……」
うさぎの手のひらは濡れていた。春先のネグリジェをまとったみちるの腕に、震えた指先から伝うしとりがまといつく。
「ひくっ……ぅ、うぅ……ひっん、……あぁぁぁぁっっ……」
濃く長い睫毛は当然、水浸しだ。真珠に匹儔してまばゆい頬は、感情的な血色に染まって、呻吟がその唇を溢れ出る。
戦いで怪我を負ってもここまでうさぎは泣かなかった。敵に追いつめられ、打ちのめられそうになったところで、無邪気なプリンセスはくずおれなかった。
そのうさぎが、泣いている。