お姫様は海に恋い焦がれる
第4章 生誕祭!うさぎ争奪戦
「可憐な乙女の登校を、よこしまな心で妨げる輩。爽やかな朝は爽やかな行動が相応しい。まして乙女の親に向かってお義母さんなどと連呼するやつは、セーラームーンが許しても、この私が許さない……」
「タキシード仮面様!って、ちがーう!!」
星野達の足許に、一輪の薔薇が落ちていた。
地に染み渡るようなテノールの声。そしてビロードのマントを逆光にそよがせるのは、タキシード仮面に変身した地場衛だった。
「行くぜ、みちる」
「良くってよ、はるか」
みちるははるかと車を離れた。
月野邸の軒先では、育子は論をまたず、タキシード仮面の正体を知るうさぎや亜美達まで動揺していた。
「貴方……は……?」
「私の名はタキシード仮面。うさぎさんの味方です、お義母さん」
「あら、貴方にもうさぎが世話に──…?」
「騙されないで下さい!お義母さんっ」
「そいつは不審者だっっ」
みちるははるかと育子の前に駆け込むや、ほぼ同時に声を上げた。