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お姫様は海に恋い焦がれる

第4章 生誕祭!うさぎ争奪戦


* * *

「キザ野郎。お前のくどい目線でカメラが溶ける」

「こっちのセリフだ。何でお前がここにいる。学校をさぼってゲーセンとは、アイドルもつくづく暇なものだな」

「くわー!!オレだってあんた達とプリクラなんざ撮りたくねぇよっ」

「はるか。星野くん。静かに」

「「……はい」」


 プリクラ機の朗らかなガイダンスが、あらゆるポーズを指定していた。


 ハートを作って、はいチーズ。
 ネコ耳で、にゃ。
 背中合わせでラブラブショット。…………


 無論、みちるとはるか、星野というメンバーでは、誰一人としてガイダンスに従う者はいない。

 みちるは帰省した際年寄り連中に安売りしている類の営業スマイルを、はるかは不特定多数の女性達に振り撒く餌もとい笑顔を、星野は職業上ベルトコンベア式に精製可能な表情をカメラに向けて、被写体を務めていた。


 操作自体は簡単なプリクラ機は、普段使わなければ慣れないものだ。
 同じ顔触れで同じ場所。かように殺風景な半個室で何度もシャッターを切られる必要性が理解し難い。窮屈がっているのはみちるだけではなかろうが、三人がこうした作業をしているのにはわけがある。

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