お姫様は海に恋い焦がれる
第4章 生誕祭!うさぎ争奪戦
大通りのど真ん中で、サングラスをかけた学ラン姿の学生が、雄叫びを上げた。
「何だよあいつは!お団子の手をとったかと思いきや、服屋だと?!プレゼントだと?!お前よりキザじゃんか!」
「それはどうも」
「褒めてねぇっ」
はるかが涼しい顔をして、星野をあしらっていた。
みちるは彼らから目を離し、うさぎと衛の次の行き先を遠目に見る。
可愛らしい路面店を離れた二人は、駅の方へ向かっていった。時刻は正午を回っている。駅には飲食店が多々ある。そろそろランチの時間だろう。
「行くわよ」
「ああ」
「…………」
はるかがすぐに歩き出したのに対し、星野がなかなか動こうとしない。
今しがたまで元気すぎるほど元気だった友人に、みちるは違和感を覚えた。
「星野くん……?」
顔色は良い。
だが、星野は動かない。
「…………い」
「え?」
「こうしちゃいられねぇ!!オレはっ……オレは、待ってるだけのシンデレラじゃねぇぇええっ……」
「星野くん!」
星野が全力疾走でその場を去った。
ややあって、うさぎと衛の入っていったレストランの近辺、平素から駆け出し中のアーティストやパフォーマー達がゲリラライブを行っている一角で、スリーライツ星野光の単独ライブが始まった。