お姫様は海に恋い焦がれる
第4章 生誕祭!うさぎ争奪戦
とめどない口舌がうさぎからこぼれ続けていた。
愛する人も大切で、友人達も大切だ。だからうさぎには衛と星野の誘いを断る理由はなく、さりとて彼らとデートしている間も、みちるを忘れたことはなかった。
それがうさぎの語った概ねだった。
みちるの胸が軽らいでいった。
喪失の重みが抜け落ちたからではない。羽のように浮かされたのだ。うさぎの想いは、みちるを天にも昇らせる力があり、幸福な重みでみちるを地に縛りつける。
「付き合って下さい」
「うさぎ……。良いの?」
「みちるさんこそ、良いんですか?」
ゴンドラが頂に達した。
眩い明滅に包まれて、みちるはうさぎの両手をとる。
「ハッピーバースデー、うさぎ」
とろけるような体温が、みちるの指に染み通ってゆく。
「有り難うございます、みちるさん」
これからよろしく。
どちらからともなくささめき合った。