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とかして。

第2章 有料なら、受け取るってことだよね?






 夜陰が街を覆っていた。

 瘴気があたしを責め苛む。夜は苦手だ。目も当てられない三体の亡骸の残像が、脳裏にこびりついて離れない。教会の記憶。


 …………鉄錆の匂い。



 ほむらの腕が、あたしを抱いた。


「うっ……ぐすっ……うわぁぁぁ……」



 ずっと一人ぼっちだった。



 月並みの幸福を得たくて祈って、月並みの不運をしのぐ闇を招いた。


 さやかも、月並みの幸福を祈っただけだ。



 ただ、あたしが彼女と違うのは、彼女は、今でもあたたかな場所にいるということ。

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