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とかして。

第2章 有料なら、受け取るってことだよね?


* * *


 宇宙は我欲(エゴ)で成り立っている。


 子供も大人も他人を蹴落とし、嘘を重ねて渡り歩く。搾取せねば、過不及ないものでさえ得られない。譎詐は世界との折り合いに不可欠だ。


 祈りが破滅に堕ちた時、あたしはあたしの少女の時代を割愛した。

 あたしは恵まれた彼らを憎むことを放棄して、正しくあることをやめた。魔法少女の力を使って、なくした分を取り戻す。あたしの信じた神様は消えた。あたしは正義という自縛をといて、邪魔な同業者を威嚇して、傲慢な世界に合わせていった。


 暁美ほむらの背負った空気は、あたしに似ていた。


 こんな世界に嫌気が差す。


 要領の良いだけの人間が跋扈し、ただ正直であろうとする人間は、片隅で、骨の髄までいたぶられる。

 あたしが盗みを繰り返したのも、ものに溢れた彼らは少しくらいなくしたくらいでは、痛くも痒くも無いからだ。






 あたしはすっかり上の空だ。

 地図を広げて真剣に話すほむらに空返事をしながら、あたしは食事という手持ち無沙汰をしていた。

 それからまもなくのことだ、二度と顔も見たくなかった第三者が現れた。


 あたしは酷い剣幕をしたほむらを追って、再び夜の帳へ出た。…………

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