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とかして。

第2章 有料なら、受け取るってことだよね?


「…………」



 あたしの望んでいたことだ。


 父さんに、母さん。そして妹。あたしをあんなに慕ったくせに、守ってやれなかった妹。

 彼らが肉塊になった夜、あたしは無音の叫びを上げた。神様なんてくそくらえ。誰かに終わらせて欲しかった。


 生きることは戦うこと。魔法少女の戦いなど生ぬるい、過酷な戦い。手に触れられない魂が、穢れても、生きること。確かにさやかの求める罰よりむごい。


 あたしに選択の余地はなかった。



 血の匂いに抱かれる度に、危険な衝動が突き上げるのは、あたしに備わる自己防衛本能だ。



 今度も、壊せば良い。


「分かったよ」

「っ…………」


 あたしはさやかの腕を引いた。

 なけなしの余力で立っていた脱け殻は、あたしの腕に容易く収まった。


「あんたの身体で支払いな」

「はっ?!」

「グリーフシード。有料なら、受け取るってことだよね?」

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