とかして。
第1章 光が世界を染め変える
「ディープ・サブマージ!!」
エナジーの現す可視光と融合した海水が、ダイモーンから嚥下物を吐瀉させた。
学会では先祖返りとして片付けられている、実際のところはダイモーンの卵を植えつけられて一時的に自我をなくした人間が、生来の姿に戻った。
ネプチューンの姿をしたみちるを離れ、ウラヌスが拳ほどのクリスタルを確かめる。
「違う……これは、タリスマンではない」
「──……」
仕事は終わった。
何度繰り返したか分からない。何度殺めかけたか分からない。戦闘の余韻を振り払い、みちるは安堵を悟られないよう口舌を抑えて変身を解いた。
ピュアな心の結晶が、あるべきところへ返っていった。
再び生を刻み始めた人間を離れ、みちるは同じく変身をといたはるかと現場を去った。
「あ……」
「っ、……」
二人の前方、たった今までいた廃工場のガレージの電信柱の陰に、一人の少女の姿があった。
「貴女……」
この地域にまで敵を追って出てきたのは、これで三度目だ。
少女の身を包んだ制服は、前回ここを訪った時も、頻りと見かけていたものだ。都立十番中学校。風紀にこまかい私学と無縁の、伸びやかな雰囲気をまとう少女は、長い金髪を二つに結って風にそよがせていた。