とかして。
第2章 有料なら、受け取るってことだよね?
「ね」
「ん?」
「大物魔女を倒したら、どっか行こ。海はまだ早いかなー……有名な美術館がたくさんある高原とか、美味しいものが食べられる北の方とか。杏子は、どこが良い?」
「やめておけ。あたしとほむらで片づける」
「…………」
さやかとあたしは、同じ匂いの中にいた。ボディソープの香りではない。大人達には決して言えない、少女らしからぬ遊戯の残滓の中に。
あたしの腕に、気高い姫君の腕の重みがまといつく。
「転校生が、何でまどかのためにあたしを守りたいのか分かんない。でも、あたしはあんたを一人でいかせたら、後悔してもしきれない」
「共倒れしちゃうかも知れないよ」
「一人ぼっちは、寂しいもん」
「…………」
「良いよ」
「…………」
「一緒にいてあげる」
…──杏子。
世界が青に覆われてゆく。
あたしをおびやかしていた晦冥も、血なまぐさい黒を薄めようとしていた。
<完>