とかして。
第2章 有料なら、受け取るってことだよね?
力なく笑うさやかは綺麗だ。
彼女はどう足掻いても、穢されない。あたしのように生きろと諭した方が、無理があった。
さやかを追いつめたのはあたしだ。
あたしみたいなヤツが現れたばかりに、温室でぬくぬくと育まれた花は不埒な現実に耐えられなくなったのだ。
「分かったよ」
「っ…………」
あたしはさやかの腕を引いた。
こいつには不似合いな、下劣な鉄錆の匂いだった。
さっき地面に消えた匂いが、思い出したようにあたしの腫瘍を引きずり出す。
「あんたの身体で支払いな」
「はっ?!」
あたしは、抱擁をさやかの尾てい骨から臀部にずらす。
指先が、まろみに掠った。細い肢体がひくんと跳ねた。
「グリーフシード。有料なら、受け取るってことだよね?」