
とかして。
第2章 有料なら、受け取るってことだよね?
* * *
見滝原に移り住んでおよそ一週間、あたしは市内のホテルを借りて暮らしていた。
あたしは、二本足の人魚姫を連れ帰った。
「あんた、この部屋どうやって借りてるの?」
「知ってどうするのさ」
「…………」
魂を閉ざした石とは他所に、清冽な目は清冽なままだ。
あたしを睨む、月の光を吸った海の色。これから魔女でも仕留める目つきで、さやかは扉の前にいた。
「来な。あんたが用済みじゃないって証拠も、お望みなら罰でも何でも与えてやる」
つい昨日のことのようだ。路地裏での一戦が、あたしの原動力をいくらでも煽る。
目を瞠るような白と青。あの日、まばゆい存在感を撒いていたのは、魔力という単純な目印にとどまらなかった。
みずみずしい信念の光。揺るぎない、さやかは、白より白い強烈な白を放っていた。
がむしゃらで、正直で、そこには昔のあたしの姿があった。
嬋娟な肌を斬り裂いたのは、あたしの例の衝動だけか?
もっと単純で、もっと猥褻な加虐心だったのではないか。
