とかして。
第1章 光が世界を染め変える
「はるか……」
地元の都立中学校の、男子生徒のカッターシャツ。みちるは味気ないシャツにくるまれたまろみを求めて、身頃のボタンを外しにかかる。
襟をはだいて、次のボタンに指をかけたところで、長い指先がそれを制した。
恭しげな騎士を気取ったキスが、手の甲をくすぐった。
「レディファースト、これは譲れないな」
「いやよ。はるか、そうしたら脱がなくなるもの」
「良いよ。君を感じたら、十分良くなる」
「恥ずかしいの。……私達、友達でしょ」
親友の前に裸体を晒して、白熱灯の下を泳いで、脚と脚の間の襞をかき分けられる。みちる自身が引きずり出される。
大真面目に抱かれたあとでも、のべつみちるに残るのは、絶大な羞恥と諦念だ。
「遊びは終わり」
「あっ、……」
「みちるの恥ずかしがってる顔も、見る価値あるしね」
するっ…………
ちゅ。……
セーラー服のリボンタイが襟を外れた。みちるの口舌が、今また慣れたキスに塞がれた。
一つに重なる二つの影は、濡れた水音に溺れてゆく。
はるかはみちるに幾度となくキスを重ねて、器用にブラウスをはだいていった。
心許ない下着姿になった上体は、輪をかけて気体に敏感になり、はるかの呼び水が掠れただけで、否、その気配が側を通っただけで、何かしらの反応をきたす。
「あっ…………はる、……」
みちるの声が、端然たる音色をなくす。
収斂する吐息、はしたなく前後に動く胸。
はるかの指が、みちるをくまなく往来する。壊れ物を愛でる塩梅の口づけは、みちるの耳朶を優しくくすぐり、首筋を撫で、鎖骨や乳房を余すところなく包んでいった。
「下着、……外すよ」
「んっ」
「綺麗だ。見せて……みちる。忘れさせてあげるから」
「あああっ……」
「癒して。僕のことも、……」
…──今だけ君のものにして。