瞳の中の恋人 ~もう一つのプラチナデータ~
第1章 1 リュウとの出逢い
その青年は 男とのセックスに不慣れなようだった。
「お前・・・もしかして、初めてか・・・?」
「・・・女は知ってる、って言ってもいいかな・・・一応ね・・・」
その言葉がどう言う意味を指すのか よくわからなかったが 追求はしなかった。
青年は 戸惑いながらも 浅間の要求に素直に応えようとし、初々しい恥じらいの中にも 大胆な妖艶さも垣間見せた。
浅間は 夢中になって彼の身体中を愛撫した。
しかし最後の一線だけは拒まれた。
「ごめんね・・・そこまでするとアイツにバレちゃうから・・・」
アイツ、というのは恋人だろうか。
そう尋ねると青年は嫌そうな顔をして
「そんなんじゃないよ・・・ただアイツにバレると きっともう一人で出歩いたり出来なくなるから」
その代わりこれで我慢して・・・、と
浅間自身を口に含み、稚拙ながらも情熱のこもった舌の動きで浅間を満足させた。
彼の口の中に二度、欲望を吐き出し、
心地よい倦怠感を感じながら
その時初めて まだ名前を聞いてなかったことを思い出した。
「お前・・・名前は?」
「・・・リュウ。あなたは?」
「・・・浅間玲司」
「レイジ・・・」
「また、会えるか・・・?」
「・・・俺も会いたい・・・けど、いつ、って約束はできないんだ・・・」
「・・・携帯は?」
「一応あるけど・・・かけないで。俺からかけるから」
「わかった。これが私用の携帯の番号だ、書くものあるか?」
「覚えるから大丈夫。090-****-****」
俺、記憶力はいいから、と静かに笑うリュウ。
もしかしたら電話なんてかける気はなく、
もう二度と会えないかもしれない、と寂しく思ったけれど、
2週間後の深夜に非通知設定からの着信。
それが リュウからの最初の連絡だった。