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瞳の中の恋人 ~もう一つのプラチナデータ~

第2章 2 神楽とリュウ



   ~2.神楽とリュウ~


神楽の寝室に 目覚ましのアラームが延々と鳴り続ける。

最近、朝起きると時々、睡眠不足のように 頭と身体が重い日がある。

そんな日に限って、6時間は眠ってるはずなのに・・・と訝しく思う。


連続殺人事件も 無事容疑者を逮捕することができ、
一息ついたといったところ。


今日は・・・夕方にあの浅間とかいう刑事が訪ねてくる予定だったか・・・
何回か顔を合わせているが あの刑事は正直苦手だ。
自分とは正反対のタイプ、話が合いそうにない。

しかも最近は、浅間が自分の顔をまじまじと見つめる時があることにも気づいていた。


週末金曜日だけあって、18時になり、通常業務の終わった者から 心なしかいそいそと退社し始める。

神楽も特に急ぎの仕事はない。
システムの点検をしながら、浅間の用事が終わったら
今日は早めに帰ろう、と考えていた。

そこへ浅間刑事が到着したと連絡が入る。


「遅くなってすまない・・・」
「いいですよ・・・それで?今日は何です?」

「昨晩は・・・どこで何をしていた?」
「・・・アリバイですか?何の容疑で?」


皮肉な笑みを浮かべながらも 目は鋭く浅間を見返す。


「そんなんじゃない、ただの好奇心だ・・・」
「私に貴方の好奇心を満たす義務があるとは思わないけど・・・まぁいいでしょう。
特に隠しだてすることもない。昨日は21時にここを出て、食料品を買って家に帰ったから・・・、家に着いたのは22時頃だったかな・・・」


その通りだ。
先に確認しておいた神楽の退出時刻は21時7分。
運転手はここから車で20分ほどの、
神楽の自宅近くのスーパーマーケットで彼をおろしたと証言している。


「その後は?」
「家からは一歩も出てないよ。もっとも一人暮らしだから それを証言してくれる人はいないけどね」

「・・・・・・」
「ほんとに、何なんですか?」

「いや・・・。実は、今日はあんたを誘いに来た」
「私を?何の為に・・・?」

「確かめるためだ。一緒に来てくれないか」
「気乗りはしないけど・・・珍しく今日はこれで仕事も終わりです。まぁいいでしょう、どこへでも付き合いますよ・・・」

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