テキストサイズ

別れ道 ~同窓会の夜~ SA

第2章 2 翔

3年生になって、同じクラスになれたとき、どんなに嬉しかったことか。
俺は自然に雅紀と親しくなれるように、共通の友人達から近づき、いつしか「親友」と呼ばれる立場を手に入れた。
しばらくして、雅紀は近くの女子高の子と付き合い始めたが、初心で晩生な雅紀じゃ、深い仲になれるはずも無い。
このまま放っておいても大丈夫だろうと判断した。

雅紀からはたびたび彼女についての相談を受けた
雅紀によると彼女は北海道の大学への進学を考えているとのこと

「そんな女やめちまえよ」
喉まで出かかった言葉を飲み下し、親友ヅラして励ますふりをする俺

遠恋なんて続くわけない、別れるのは時間の問題だな

俺の予想通り二人はすぐに別れてしまった



大学1年の冬、クリスマスイブの雅紀の誕生日。この日は毎年家族で祝ってもらうんだ、この歳になって、おかしいよね、と照れくさそうにいう雅紀の意思を尊重し、プレゼントのマフラーを渡しただけ。
二人で過ごせないのは残念だけど合コンもどきのパーティーなんかに行かれるよりずっといい。俺は自分の誕生日に照準を合わせて計画を練った。

有無を言わせない勢いと力技
優しい雅紀は俺が真面目な顔をすれば何も断れない

それでも最初は驚きから抵抗した雅紀だったが、「誕生日プレゼントに」と強調したのを、1度きりの思い出作りとでも勘違いしたのか…、次に映画に誘ったときも簡単に家までついて来て、勧めた酒も抵抗無く飲み始める。

俺が言うのもナンだが、ちょっと無防備すぎないか?
人を信用しすぎるというのか…こいつ、俺のほかにも狙ってる奴がいたら、あっけなく落とされるかも、な。

もう待ってられない。今日、勝負を掛けなければ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ