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別れ道 ~同窓会の夜~ SA

第2章 2 翔

2-3

その日から、俺と雅紀は心も身体もゆっくりと近づいて、いつしかお互いに離れられない存在になった。




…なれた、と思ってたんだけどな…。




俺みたいに割り切ることが出来ない真面目な雅紀は、きっと心の奥のほうでずっと悩んでたんだな。

同級生の結婚の噂がちらほら聞こえ出した頃から、親御さんにも「あんたはいい人いないの?」と聞かれるようになったらしく、「なんだか親を騙してるような、裏切ってるような気がするんだよね…」と辛そうに漏らした事があった。

でも、俺は「仕方ないさ」と軽く受け流してしまったんだ。
どうしてここでちゃんと雅紀の想いを酌んでやれなかったんだろう。

俺はバカだった。本当に大バカ野郎だった…。






そして3年前のあの日…突然別れを切り出された。

聞けば高校の時付き合っていたあの彼女が大学を卒業してこっちに戻ってきたらしく、半年程前に連絡を貰っていたと言う。

その彼女にはもちろん、北海道で付き合ってた奴がいたんだけど、お互いに一人っ子同士で親を置いて遠く離れた地へ引っ越すことを踏み切れないまま卒業、そしてお決まりの遠恋からの自然消滅。

そんな時雅紀のことを思い出し、寂しさを紛らわす為か、昔の仕打ちを償いたくなったのか、「もう一度付き合って欲しい」と言われたそうだ。

俺に言わせれば、「だから女って奴は…」と舌打ちしたい気分、それと同時に雅紀の人の良さにため息のひとつもつきたくなったが、・・・こいつにも多少の打算は合ったんだろうな。

なんせ、その子となら太陽の下 堂々と付き合い、結婚も出来る。
家族思いの雅紀の選んだ道…俺には何も言えなかった。


最近では本当にゲイをカミングアウトする人も増えてるし、性同一性障害の人は戸籍の性別まで変更できるらしい。日本もだんだん臨機応変に寛容な対応ができるようになってきてる、とは感じるけど、同性との結婚が認められるようになるのはまだまだずっと先だろう。

いや、俺が生きてるうちに改正されることなんてあるのかな?


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