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第15章 夏休みとそれぞれの想い

砂浜まで坂道を下り歩いて10分程掛かった。

「誰だよ…歩きたいなんて言ったヤツは!!」

夏が文句を言った。強い日差しは、背中が焼け焦げるかと思うぐらい熱かった。

「だって、こんなことで運転手さんを煩わせちゃいけないかと思って。」

大きなサングラスを掛けた夏の姿はどこかのマフィアみたいでおかしかった。

「もうすぐ花火大会があるんだよ。すっごく混むけど、屋台が沢山でるんだ。」

真啓はあたしと同じぐらい真っ白な皮膚をしていた。制服で観るのと違って、思っていた以上に逞しかった。

「行きたい!行きたい!」

あたしとリツは大はしゃぎだった。

「あーあ華はやっぱり色気より食い気だな。花火より屋台巡りに夢中になるよきっと。」

夏がちょっと意地悪く笑った。
「でも…すっごく混むからね。」

真啓が真面目な顔をして言った。

「この間の電車ぐらい?」

アスファルトからの照り返しであたしは汗をかいていた。

「うーん。そこまでじゃないけど。」

「あたし迷子になりそう。」「迷子になるんじゃね?」「華、迷子になったりして。」

夏とリツも同時に言ったので、真啓が声を出して笑った。

「ひっどーい!」

リツはあたしに舌をペロッと出した。

「酷いって、お前自分で言ったじゃん。」

夏が笑った。

「自分で言うのと、人から言われるのとは違うのっ!」

真啓はまだ笑っている。

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