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第15章 夏休みとそれぞれの想い

「ちょっと真啓も笑いすぎ。」

あたしは真啓をジロッと睨んだ。

「こめんね…だって…僕もちょっとそう思ってたから。」

あたし以外の皆がまた笑った。下らないことを皆で話している間に、浜辺についた。砂浜には、カップルや家族連れなどが居たが、ゆったりとした感じで静かだった。

「あそこで休むと涼しいよ。」

真啓が指をさした先には、海の家があった。あたしたちは荷物を置いた。リツと日焼け止めを塗っている間に、夏はさっさと行こうとしたので慌てて止めた。

「オイル塗らないと、後で酷いことになるわよ!!」

「へーき。へーき!」

夏は毎年同じ失敗を繰り返す。

「もうさっさとひとりで行っちゃってぇ。真啓はどっち?」

あたしは日焼け止めとサン・オイルを見せた。

「僕は家で塗って来たから大丈夫。」

真啓は夏と自分の荷物を纏めた。

「真啓くん!そんなこと言わずに塗っておいた方が良いわよ。」

日焼け止めで全身真っ白になったリツが真面目な顔で言ったのであたしは可笑しくて仕方が無かった。あたしは胸にフリルが沢山ついているビキニ、リツは、ビーチバレーの選手のような水着だった。それだけで、本気で泳ぎにきていることが判った。

「僕は日焼け止めを塗ってても焼けちゃうんだ。」

「あたしと同じだ。だったら真啓も真っ白族になっといた方が良いよ?」

真啓が心配そうにちらりとリツを見た。

「ああ、リツはやり過ぎ。いつもの事だから。さぁ背中に塗ってあげる。」

あたしは真啓の背中にたっぷりとローションを塗った。思っていたよりもだいぶ大きな背中。そして肌は、きめが細かく滑々としていた。

「はい♪あとはご自分でどうぞ。」

あたしは、ボトルを渡した。

「ご…ごめん。ちょっと僕トイレに行ってくる。」

真啓は慌ててトイレへと向かった。あたしはバッグの中からフランクルの「夜と霧」を出して読み始めた。パパが勧めてくれた本だった。家族で海へ行ってもあたしは大抵海の家で過ごすので、暇つぶしを持参する。夏とリツが沖へと泳いでいくのが見えた。

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