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第15章 夏休みとそれぞれの想い

「ごめんね。」

真啓が戻って来た。

「あれ?華…は行かないの?」

真啓はあたしの隣に座った。

「うん。いつもこんな感じだから平気。真啓も行って来れば?あの二人沖で遊んでる。」

あたしは、プカプカと仰向けに浮かんでいるふたりを指さした。

「行こう!華…一緒に♪」

真啓が急にあたしの手を引っ張ったので、慌てて本を置いた。

「大丈夫♪僕が一緒にいるから。」

じゃぶじゃぶと真啓はあたしと手を繋いだまま、波打ち際へと入っていった。

「ちょ…待って」

波が何度も体に当たり、引き戻されそうになった。その度に真啓が大きな手をしっかりと握ってくれた。

「あたし膝上より深い所へ行ったことが無いの。」

身体が強張るのがわかったけど、真啓はお臍の辺りまでどんどん歩いて行った。
波が崩れるところを過ぎると、とても静かだった。

「ね?大丈夫でしょう。」

真啓が笑った。その笑顔が何だか眩しくてドキドキした。

「う…ん。」

あたしは何故か目を伏せて返事をした。

「真啓は誰に泳ぎを教わったの?」

水が冷たくて気持ちが良かったけれど、背中がジリジリと熱かった。

「父だよ。あの人はスポーツは何でもやるから。」

「そっか。」

あたしはずっと真啓と手を繋いだままだった。

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