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「ねぇ。波が大きくなってきてるよ？」

あたしは、真啓に捕まっている場所が手から肘になり、肘から肩になった。

「わっ。」

日焼け止めで手が滑り、思わず真啓の首に手を回した。

「ごめんね…真啓くん…暫く捕まらせて？」

「あ…またくん付けで呼んだ。」

真啓は笑っていたが、あたしはそれどころじゃ無かった。

「いい？僕のジャンプのタイミングを見ててね。」

大きな波が来ると、真啓はあたしをそっと抱きしめた。

「ね？」

耳元で真啓の良く通る声が響く。

「ま…真啓…ねって言われても怖いよ…。」

真啓の体温はあたしよりも少し高くて心地が良かった。

「ごめんね…夏には内緒にしといてね。また馬鹿にされるから。」

真啓は笑ってた。暫くすると波は穏やかになったので、あたしは慌てて真啓から離れた。

「怖かったのに無理に連れて来ちゃって、僕こそゴメンね。」

ゆっくりと浜辺へ向かってまた手を繋いで歩いた。波を見ていると眩暈を起こしそうだったから。

「明日から３人で遊んでね？あたし手が掛かるから、本読んで過ごすから。」

真啓だって遊びたいだろうし、それこそ迷惑になる。

「え？そんなに怖かった？」

「思ってたよりは怖く無かっ…きゃっ。」

あたしは真啓に抱き付いた。

「どうしたの？」

それでも真啓はあたしを支えてくれた。

「今、足になんか触った。」

まるで髪が足に絡まるような感じだった。そしてまたふわりとあたしの足を撫でた。