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第15章 夏休みとそれぞれの想い

「僕は夕食までピアノの練習をするから、好きな部屋で過ごして。」

夏は家の中の探検をし、あたしはリツとベッドの上でおしゃべりをしていた。

「真啓くんとどうだったの?」

ふたりで転がってもまだまだ余裕があった。

「どうって…。何も無いよ?なんで?」

リツが一枚の写真をあたしに見せた。それは真啓とあたしが抱き合っている写真だった。

「ふーん。これでも何も無かったのねぇぇぇぇ。」

「嫌だ~!なんでこんな写真撮ってるのよ~!お願いだから夏には見せないで~。」

ばれたらまた茶化されるに決まってる。

「あ…コレね。夏くんが取った写真をあたしに送ってくれたの。」

…へ?

「嫌だぁ~最悪!」

あたしはボフッと枕に顔をつけて、手足をバタバタさせた。リツは夏と何も無かったらしい。

「思うに、あたしと夏くんは、戦友みたいな感じなんだよなぁ~。それが今の悩み。」

リツはため息をついた。

「告白して振られちゃったら嫌だし…。」

夏は、男友達と遊ぶのが楽しくて、告白される女の子全員を振っていた。それなりにモテるから、リツも心配なのかも知れない。

「夏は女っ気なんて全然だよ~。それに一番良く遊ぶのがリツじゃない?だから、心配要らないよ。」

「ホント?」

リツは嬉しそうな顔をした。恋する乙女リツは、とても綺麗だった。あたしはまだまだ先の様な気がした。
暫くするとリツが寝落ちしたので、あたしはピアノの部屋へ枕とブランケットを持って遊びに行った。

「大丈夫?疲れた?」

真啓が弾くのを辞めてあたしに聞いた。

「大丈夫。ゴメンね練習続けて。」

当たり前のようにピアノの下に潜りこんだあたしを見て真啓は笑った。真啓のピアノは、とても素敵だった。繊細で力強くて、情熱的かと思えば寂し気で、曲によって全く違う。
あたしは真啓の曲を子守唄代わりに、いつの間にかいつもの様に寝てしまった。

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